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犬の膀胱結石(尿石症)について

《尿路結石とは》

尿中に含まれるミネラル成分(カルシウム、マグネシウム、リンなど)や有機物が凝縮し大きくなったものです。

小さいかけらの状態を結晶と呼び、結晶が凝縮して大きくなると結石となります。

結石は炎症の原因になったり尿路閉塞の原因になったりします。

結石は組成により様々な種類があり、特徴も異なるので代表的なものをまとめました。

 

・ストルバイト(リン酸アンモニウムマグネシウム)

アルカリ性尿で形成されやすいが、酸性尿で溶解する。レントゲン透過性-。

 

・シュウ酸カルシウム

酸性尿で形成されやすく、アルカリ性尿で溶解しない。レントゲン透過性-。

  

・尿酸アンモニウム(尿酸塩)

肝不全等の高アンモニウム血症を呈する疾患で出現。ダルメシアン、ブルドックが好発犬種。

レントゲン透過性+。

 

・シスチン

アミノ酸代謝異常で出現。先天的な遺伝疾患で発症する。

レントゲン透過性+。

  

※レントゲン透過性 +:レントゲンで写らない -:レントゲンで写る

 

《尿石症とは》

泌尿器(尿路=尿に関わる臓器)に結石ができると尿石症と呼ばれます。

結石はできる場所によって腎結石、尿管結石、膀胱結石、尿道結石と呼称が変わります。

 

《膀胱結石のときの症状》

・血尿

・頻尿

・繰り返す尿意(何度もトイレに行くが尿が出ない)

・排尿時の痛み

・陰部や陰茎、下腹部を舐める

 

《診断方法》

尿検査、レントゲン検査、エコー検査が有用です。

尿検査に使用する尿は1番新しい尿をお持ちいただくか、必要に応じて病院で採尿します。

ただし膀胱に尿が溜まっておらず採尿できない場合もあります。

 

《治療》

結石の種類によって異なるため、主な結石2種類について記載します。

 

・ストルバイト(リン酸アンモニウムマグネシウム)

療法食を使用し、溶解しやすい尿環境を作ります。

具体的には尿pHを酸性に保ち、尿中のミネラル成分量を低くすることで再度結石ができにくい状態を作ります。

療法食は結石が認められなくなってもしばらく続けることが推奨されます。

溶解しきらない場合は外科的なアプローチが必要になることもあります。

細菌の尿路感染を認める場合は抗生剤も併用します。

 

・シュウ酸カルシウム

溶解しない結石なので、尿路を通れない大きさの結石は外科的に取り除く必要があります。

結石のある臓器を切開し、直接結石を除去します。

尿路を通るサイズ、結晶の状態であれば尿量を増やすことで排出を促し、内科管理で治療できる場合もあります。

 

《まとめ》

どの結石においても、早期発見・早期治療が望ましいです。

結石や結晶の既往歴がある場合は、症状がなくても定期的な尿検査が推奨されます。

当院でも食事療法や結石の摘出手術を行っているので、少しでも異常を感じたときは獣医師にご相談ください。

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